アロマテラピーのレッスン中に精油の香りを嗅いだ受講生が
「あ、これ知っている」と
笑顔で懐かしそうに話してくれた精油にまつわるエピソードをご紹介します。
小さいころ、アトピーに悩んでいたという彼女。
どうにかできないかと、母親があれこれ試行錯誤しながら手作りしてくれたクリームが
とてもよく効いたという記憶を話してくれました。
ところが、お母さんは一生懸命すぎたのか何を入れたのかすっかり忘れていたそう。
そのクリームに入れたものの答えがアロマテラピーレッスンで精油の香りを嗅いだ瞬間に「あ、これだ!」とわかったのです。
その精油の名は、カモミール・ジャーマン(カモマイル・ジャーマン)。
この記事ではそのエピソードをきっかけにカモミール・ジャーマン精油の成分とプルースト効果についてお伝えします。
「プルースト効果」とは?香りが記憶を呼び起こす現象
「懐かしい香りを嗅いだ瞬間に昔の記憶がよみがえった」
そんな体験をしたことはありませんか?
これを「プルースト効果」と呼びます。
フランスの作家マルセル・プルーストが小説の中で描いた体験が由来で
マドレーヌを紅茶に浸した香りで幼少期の記憶が鮮明によみがえるという場面からきています。
なぜ香りだけがこんなにも鮮明に記憶を呼び起こすのか?
その理由は嗅覚の特別な仕組みにあります。
五感の中で嗅覚だけが感情や記憶をつかさどる大脳辺縁系に直接届きます。
大脳辺縁系とは脳の中で最も古い部分で
- 喜怒哀楽などの感情
- 懐かしさや恐怖などの記憶
- 本能的な行動
などをつかさどっている場所です。
大脳辺縁系には記憶の保存に深く関わる「海馬(かいば)」があります。
海馬は体験したことや感情と結びついた記憶を保存する場所です。
匂いを処理する場所は、記憶を司る海馬や、感情を司る扁桃体のすぐ近くにあります。
そのため、匂いの刺激は他の感覚よりも強力に、香りに結びついて「記憶」や「感情」を引き起こすきっかけになりやすいのです。
視覚や聴覚とは異なり思考や判断をする脳(大脳新皮質)を介さないため
「理屈より先に気持ちが動く」という独特の体験をもたらします。
だからこそ香りは言葉では説明できないほど鮮明に記憶を呼び起こすことができるのです。
そして受講生さんの「あ、これだ!」という瞬間もまさにこのプルースト効果だったのです。

📌アロマテラピーの仕組みについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
→【初心者向け】アロマテラピーとは?その効果と日常での楽しみ方や使い方、注意点について
カモミール・ジャーマン精油の秘密
レッスンで登場したカモミール・ジャーマン精油。
なぜこの精油が受講生のお母さんが手作りしたクリームに使われていたのでしょうか。
その秘密は精油の成分にあります。
カモミール・ジャーマン(カモマイル・ジャーマン)精油とは
カモミール・ジャーマン精油のプロフィールは次の通りです。
- 学名:Matricaria recutita
- 科名:キク科
- 採油方法:水蒸気蒸留法
- 採油部位:花

カモミール・ジャーマンはヨーロッパ原産の一年草で白い花びらと中心が黄色い特徴的な可憐な花を咲かせます。
古くからヨーロッパでは「マザーハーブ(母なるハーブ)」とも呼ばれ、
肌のトラブルや消化器系のケアに広く用いられてきた植物です。
日本では「カミツレ」という名でも親しまれています。
香りについてはフレッシュな花からはかすかにリンゴのような甘い香りがしますが
精油になると少し青臭い独特の香りに変わります。
※これはあくまでも講師個人の感想です😊
この独特の香りの正体が次にご紹介する「カマズレン」という成分です。
なお同じカモミールでもカモミール・ローマン(学名:Chamaemelum nobile)は別の植物です。
含まれる成分が異なるため作用も違います。
精油を選ぶ際は必ず学名で確認することをおすすめします。
カモミール・ジャーマン精油の成分と作用
カモミール・ジャーマン精油の主な成分は酸化物類です。
酸化物類の主な作用は以下の通りです。
- 去痰作用
- 抗カタル作用
- 抗ウィルス作用
- 免疫調整作用
- 抗菌作用
そしてこの精油の特徴的な成分が「カマズレン」です。
カマズレンは鮮やかな紺碧色をした成分で「アズレンブルー」とも呼ばれます。

医療職の方には「アズノール軟膏」の青色を思い浮かべて、というとイメージしやすいかもしれません😊
カマズレンには以下の作用があることが知られています。
- 抗アレルギー作用
- 抗ヒスタミン作用
- 抗炎症作用
- 鎮掻痒(かゆみを鎮める)作用
- 皮膚組織再生作用
カモミール・ジャーマンがアトピーケアに選ばれる理由
アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下することで外からのアレルゲンが侵入しやすくなり、炎症やかゆみが繰り返される状態です。
また、アレルゲンに対する免疫の過剰反応が症状をさらに悪化させる要因にもなると考えられています。
カモミール・ジャーマン精油には主要成分である酸化物類と特徴的な成分カマズレンが含まれており
酸化物類の
- 免疫調整作用
- 抗菌作用
- 抗ウィルス作用
カマズレンの
- 抗アレルギー作用
- 抗ヒスタミン作用
- 抗炎症作用
- 皮膚組織再生作用
これらの作用が組み合わさることで過剰になった免疫反応を整えながら皮膚バリア機能へのケアに
役立つ可能性があると考えられています。
受講生さんのお母さんが手作りしたクリームがよく効いたというエピソード。
詳細は分かりませんが、精油の複数の成分の作用を知ると「そうか、だからあのクリームが効いたのかもしれない」と納得できるのではないでしょうか。
香りが呼び覚ました母の愛
実はこのエピソードには続きがあります。
受講生は精油の香りを嗅いだ翌日に「鼻が通ったんです。通ったことなかったのに」と話してくれました。
アトピーは今は改善していたものの、鼻づまりには悩んでいたようです。
ここからはあくまでも講師個人の推測であることをお断りしたうえで先をお読みください。
アレルギー性鼻炎による鼻づまりだったとすれば?
カモミール・ジャーマン精油の酸化物類に含まれる抗炎症・抗カタル作用やカマズレンの抗アレルギー作用が関係して鼻詰まりが通った、という可能性があるかもしれません。
繰り返しになりますがこれはあくまでも推測です。
そしてもう一つ、後日談があります。
レッスン後に受講生がお母さんに「これだったんじゃない?」と精油名を伝えようとした時のこと。
すっかり忘れていたはずのお母さんが急に思い出したように「カモマイル・ジャーマンだ」と先に言ったそうです。
なんとも不思議で温かいエピソードですね。😊
まとめ
この記事では
- プルースト効果という香りと記憶の不思議な関わり
- カモミール・ジャーマン精油の成分と作用
- 受講生さんとお母さんの温かいエピソード
をご紹介しました。
香りが記憶を呼び起こすプルースト効果。
そしてカモミール・ジャーマン精油に含まれる成分の働き。
この2つが重なったとき母親の愛情が時を超えて娘に伝わった瞬間が生まれました。
もしかしたら彼女がアロマテラピーを学びたいと思ったのも幼いころのあの香りの記憶が
そうさせたのかもしれません。
香りは温かな記憶とともに心の深いところに刻まれていたのかもしれません🌿
⭐カモミール・ジャーマン精油のように
「なぜこの精油なのか」「この成分にはどんな働きがあるのか」を
化学の視点から学ぶことができるのがメディカルアロマテラピーです。
精油の成分を知ることで選ぶ理由が明確になり、より安全に、より自信を持って
アロマテラピーを活用できるようになります。
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